2016.03.29
甲状腺機能亢進症
先日、肩のコリを主訴とした20代後半の男性が来院されました。
手指や上肢の痺れなどの神経症状はありませんでしたが、
念のため安心させる意味で、10秒テストやバレー徴候の検査をした際、
手が細かく震える振戦が見られました。
顔を上げてもらい喉を見てみると、
甲状軟骨(のど仏)、輪状軟骨の下にある甲状腺(羽を広げた蝶の形)が
全体的に腫れていました。
甲状腺機能亢進症を疑い、問診を続けると、
まだ寒い時期なのにやたらと汗をかくといった症状があり
また、脈をとったら98と頻脈でした。
症状は甲状腺機能亢進症に4項目がピタリ。
唯一教科書的に違うのは、以前の来院時に比べて太っていたこと。
通常、この疾病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため基礎代謝が亢進され、
体重が減って、やせるのですが、
若いので代謝以上に食欲がまさり、バンバン食べて太ったと思われます。
直ちに内分泌科に紹介状を書きました。
今回は、単なる肩こりと片付けず、念のため神経症状の検査をしたことから、
代謝内分泌疾患が見つかったケースをご紹介しました。